2014年05月25日

LALA7月号 夏目友人帳感想


前回が結構な大ネタだったので、今回は一話読みきりでなんだかほっとしました。
以下、ネタバレ感想ですのでたたみます。


妖しを見ることはできないけれど妖し関係に巻き込まれた女の子と、夏目と、大妖の話。
ここのところ、仲間内から見る夏目の姿も夏目自身が見る自分の姿にだいぶ近づいて、…つまりミステリアスな少年、ではなくなっていたので、こんなふうに、優しそうなのにつかみどころのない、どこか妖しげな少年としての夏目の姿を描かれるのは久しぶりな気がしました。
何もなさそうな木の影に話しかけたり、空を向いてしきりにうなずいたり、という夏目の仕草は、その向こうに妖しがいるとわかればこそ、不審ではないわけですが、改めて、妖しの存在をはっきりとは信じていない人の目で夏目の行動を見なおすと、ああ、こんなふうなんだというか、…不審がられてしまってもやむを得ないのだろうなと、…わかってても思ってしまうというか……。
救われるのは、今回の語り手である女の子がいろんな意味で非常に前向きで、不思議な事態に対してポジティブに対応する子であるということ。
…普通、助けた白いフクロウのために、夢のお告げに従って、一人でお弁当持って謎の森に踏み込んだりはなかなかしないですよね……。
夏目も、タマミちゃん(語り手の女の子)の前向きな明るさにはずいぶんと救われる思いがしているのではないかと思います。だからこそ、フクロウの大妖が彼女の記憶を消そうとしていることに真剣に怒る。
けれど、フクロウ大妖にはフクロウ大妖の事情があって、それは彼自身の思いがどうあれ覆すことのできない理で、…そのあたりは、妖しとして事情をよく知るニャンコ先生も、「曲げられぬ理もあるのさ 夏目」と冷静に釘を刺す。
…この、曲げられぬ理もあるのさ、と言う言葉が、…なぜか、今回の話の中で一番印象に残りました。
フクロウ大妖は、おそらく、夏目の世界に出てきた中でもかなり人に対して譲歩する、譲歩できるタイプの大妖です。……その彼をもってしても、『理』というものを曲げることは出来ない。破ることは出来ない。……そういうものが厳然として存在しており、それは人の感性では今ひとつ納得しかねるものである場合もあるということ。
人の世界と妖しの世界の道理の違いというか。どうしても相容れない部分は厳として存在するのだというか。……そういうものだということを、改めてつきつけられたような。
もちろん、フクロウ大妖は精一杯の譲歩をします。本来なら生きて返してはならない人の子を、記憶を消すだけで人の世へと返す。あまつさえ、リングの石のかけらを記憶のよすがとして残すことまでする。
これがいかほどの譲歩か。彼が大きな力を持つ妖しであればあるほど、『理』を逸脱することは難しくなるはずで、それをおして、あえて、ここまでの譲歩をした彼の、タマミへの思いの深さを思うとしくりと胸が痛い。
「忘れられるのもおしいものだな」
記憶を消す寸前、別れ際のフクロウ大妖の言葉がこれです。
知ってるようで知らない声、という表現がじんわり響きます。…忘れてしまう声、消されてしまう記憶。ページを一枚めくってしまえばもう、そこにいるのはフクロウのことを知らない女の子。夏目のことも、ニャンコ先生のことも忘れてしまっている女の子。
その彼女の目に、美しいと映る石のかけらだけが、たった一つ、消えないもの。

…うーん。なんかぽえみーな締めになってしまって申し訳ないです。なんかもう、今回の話はしんみり美しくて…。好きだなあ、と思いました。あと、緑川さんの描かれるタマミちゃんみたいなポジティブな女の子、本当に大好きです…!
posted by 麻井由紀 at 01:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 夏目友人帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見しております。
前回までの展開から、ちょっとどきどきしながら読み始めたのですが、本当にほっとできるお話でしたね〜。タマミちゃん、かわいかったです。
個人的には緑川先生の描く鳥が好きなので、今回はちょっと嬉しい回でした。
また2ヶ月の辛抱…隔月掲載は待っている期間がホント長いですよね。。
また楽しみに感想、楽しみにしています。
Posted by at 2014年05月26日 15:51
いつもお言葉ありがとうございます、感想書く励みになります!
タマミちゃん、かわいかったですよね、良い子でした。そしてフクロウがまたかわいい…!大物妖怪なのになんともいえずかわいかったです。けなげというか。
次はまた二ヶ月後、7月末ですね、長い…!でも応援して待とうと思います。話が動いてほしいような、続き物だったら二ヶ月待つのが辛いような、微妙な気持ちです…。
Posted by あさい at 2014年05月27日 03:33
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/397827790
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。