2014年03月23日

LALA5月号 夏目友人帳感想

閉ざされた部屋の章の後編。以下、感想でネタバレですのでたたみます。


「あの方は昼も夜もなく妖しを集めては、我らと共にどんちゃん騒ぎ
大物妖しを呼び出してはイカサマ勝負を仕掛け、大量の酒をせしめたり
新しき術で面白おかしな妖しを呼び出し、一緒に踊りさわぐ
時には屋敷内を桜で満開にし、我々式に花びらのそうじをさせて高笑いをするなど
それはそれは楽しかった。 楽しかったのだ。
−−−我々は」
「…しかし、どんなに騒いでも こんなに楽しいことはないと我々は思っても
主様は、玄関側の戸口で物音がすると飛んでいった
身を低くし窓から門の方を覗いては 誰もおらずにため息をついて立ち上がり
色付いた木の葉を眺めては 今年も来ないかと笑って目を閉じる
−−−… 今更 通しはせん」

偶然出会った別の祓い屋の「思い入れの感じられるものがほとんどない」というヒントから、孫を思って植えた楓の木を頼りに部屋を探し、楓の小箱、家族の写真、写真にかすかに写っていた(夏目にしか見えない)式の龍、その写真を持っていたことによって現れた壁の扉の龍、と謎の中心にたどり着いた夏目と名取。
その龍が夏目と名取に語る…語るというより、訴える、といったほうがいいかもしれない勢いで語るのが冒頭の言葉です。
すごく響きました。たぶん、夏目には読み手の私たち以上に響いたと思う。前半はそのままレイコさんにも当てはまるから。
レイコさんと箱崎氏が違うのは、レイコさんが諦めてしまった家族というものと、箱崎氏はある程度まではつながり得たこと。そしてどこでかはわからないけれど、そのつながりをとうとう維持し得なかったということ。
きれてしまったつながりを、それでも箱崎氏はいつかはと信じて、…信じて待って、待ち続けて、結局妖しには囲まれながら、人としては一人のままで逝ってしまった。
今更通しはせん、という龍の一言は、その主の悲しみを傍で見続けた龍の気持ちは、いかばかりかと思うのです。
もっとも、龍はこうも続けます。
「ここには良いものもあるが、悪いものもある。このまま閉じておきたいというのが主のお考えだ」
箱崎氏という人は、きっと本当に優しくて強い人だったのだろうなと思います。式が龍という時点で、妖しについての力の強さはお墨付きをもらっているようなものですし、家族と離れていることが辛くても待つ姿に荒れた様子は窺えない。それは心の強さにつながるだろうと思います。自分に見える世界の良いもの悪いものを判断し、信頼置ける式達に守護を任せて、きちんと始末をつけていった。智恵も何もかももろともに解き放たないのは彼の強さ、優しさであろうと思うのです。
夏目に、名取に、彼のような人物が師として身近にいてくれたのなら良かったのに、と、少し思いました。

「とられるくらいなら持って行く」
この屋敷に、主の思い出と共に眠っていたいという龍達の願い叶わず、結局七瀬女史に強引に突破されそうになって、二匹の龍は妖しの力で閉ざされた書斎だけを燃やし尽くし去っていくのですが、龍は夏目の箱崎氏への思いに感じるところあったらしく、害がないと思える術や符の手がかりのメモを焼け残りという形で置いていってくれます。
けれどそれ以上に夏目にとって大きな置きみやげになったのは、龍のこの一言でした。
「昔お前に面差しのよく似た男に会った気がする」
自分に似ていると言われるのは全てレイコさんだと思っていた夏目にとって、おそらく青天の霹靂に近かっただろうこの一言。読者にとっても衝撃でした。肝心要の、名取への友人帳の告白シーンがインパクト薄れるくらいの衝撃(私には)でした。
え!?レイコさんだけじゃなかったの!?て本当に思った…。しかも、お父さんじゃなくてたぶんお祖父さん、て夏目言い出すし。今後、こっちの話がどう展開に絡んでくるのかすごく気になります…!

気になっていた、友人帳への名取の反応は、案外薄くて驚くほど。…ただ、「そんな危ないもの、燃やしてしまえばいいのに」という一言は、間違いなく彼の本心でしょうし、夏目を思えばこその言葉なのでしょうが、いつかこの考えが、夏目との決定的な仲違いにつながるような気がしてなりません。杞憂に終わればいいと、どうかそんな日が来ませんようにと、願います。

次回はまた二ヶ月後、長い!(毎回言ってるw)
でも待ってます!!!
posted by 麻井由紀 at 23:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 夏目友人帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見しております。
祖父の存在、もうホント予想外すぎて、びっくりです。名取さんに友人帳のことを話すのも、私の中では一大イベントだったのですが…祖父の存在が気になって仕方ありません(涙)。今回の龍の式、個人的にはすごい好きです。
最後になってしまいましたが、ご家族のご入院とありましたが…どうぞお大事になさってくださいね。お忙しい中、こんなことを言うのは恐縮なんですが、また感想読めるのを楽しみにしています。お忙しい中、ブログ、更新してもらえて、感想読めて、感謝です。また楽しみにしています。


Posted by at 2014年03月25日 00:39
コメントありがとうございます!
お祖父さん!?…と、びっくりしましたよね、本当に!私は、夏目が名取に友人帳のことを告白する場面がかすんだように思えたほどでした。
龍の式、私も大好きです!主のことが大好きで、強力な力を持っているのにどこか茶目っ気がある雰囲気で。あんな式を二体も従えてるなんて、箱崎さんの力の強さが思われます…。
それから、お気遣いありがとうございました。楽しみにしていただけて嬉しいです。無理せず続けて参りますので、また遊びにいらしてください。いつもいつもコメントありがとうございます、励みになってます!
Posted by あさい at 2014年03月25日 02:25
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