2013年09月25日

LALA11月号 夏目友人帳感想


名取と的場の特別編の後編。それぞれの妖し退治への考え方が見えてくる話でしたが、明確な言葉では綴られません。なので、読んだ方の目線や受け取り方で、見えたものがそれぞれ違うんじゃないかと、…なんとなくそんな印象を持ちました、後編です。今回いつも以上に主観中心に語ってますので、それがご不快な方は今回の感想はスルーでお願いします。以下もっとばっちりネタバレ、たたみます。なお、今まで的場静司のことを的場的場と記載してきていますが、今回の感想に限っては静司と表記します。的場一門のことと静司本人のこととを区別するためです。


タクマの妖し封印失敗を受けて大妖退治に乗り出す名取と、そんな名取に対して共闘を持ちかける静司。その提案はあっけないほどすぐに決裂します。理由は、名取が静司の提案を自分への品定めと感じたから。そしてうまくはやっていけないと感覚的に思ったから。
後者の理由、静司とはうまくやっていけない気がすると名取が感じるのは、確かにそうだろうなと思いますが、前者の理由はどうなんでしょう。名取自身は品定めと決めつけていますが、読んでいる私は、そこまで決めつけることは出来ないんじゃないかと感じました。
もちろん、読み始めたときは名取目線で名取と同じように「そうだな、使えるかどうかの品定めなんだろうな」と思ったのですが、読み終えて、二度三度と再読すると、なんとなく静司の印象が変わってきて。
名取がきっぱりと提案をはねつけていて、しかも明らかに自分よりも劣った能力しか持たない祓い屋であるにもかかわらず、しつこいほどに静司は名取と関わろうとする。そこには、ビジネスとは違う、何らかの親しみがあるからのような気がします。

そう、ビジネス。はからずもこの単語を出してしまったので、先にこっちに触れようと思いますが、名取と静司の妖し退治、祓い屋に対する考え方の違いが、今回の話で少しわかりやすくなりました。この話を読むまでは、どちらも妖し退治をビジネスだと思っていて、それが的場一門の場合は大がかりな会社組織的ビジネスであるのに対し、名取は小回りの利く個人商店、程度の違いかと思っていました。
が、それはどうやら違うようです。
名取にとっての妖し退治は、自分の中での道標なのですね。自分を導いてくれるもの。自分の迷いに対して杖になってくれる物。名取は、茶道、華道ならぬ、妖し道のようなものが妖し退治にはあると考えていて、その道を究めようとする求道者になりたいと考えているような気がします。
そんな彼が出会う天崎という祓い屋。かつて恩を受けた名取家に恩を返したいと考えている彼は、力を失い病を得て、静かに世を去ります。…が、彼の存在は、名取の考える祓い屋の姿に小さな灯りをともしていきました。復讐されるだけが祓い屋じゃない。感謝されることもあったはずだ、と。

翻って静司は本当にドライ。純粋に妖し退治をビジネス、しかも家業と考えている。その様子を見て名取は、静司の肩には一門等いろんなものがのっているから揺らがないと感じます。…うーん、どうかなあ。もちろん責任があることは静司も認識していると思いますが、結構その事実は静司の中で重要度低いというか、取るに足りないことのような気がします。あと、妖し退治そのものに対してもなんかこう…どうでもいいやみたいな態度が見え隠れする…。
106Pで、静司が名取に「強くならないと何も守れないよ」と言いますが、彼が守ろうとするものは何なんでしょう。守ろうとしている物はあるんだろうか、と疑問を呈するのは行き過ぎですか。…どうも、彼が的場一門を積極的に守ろうとしているとは思いがたいんですよね…。なんでかなあ。

ともあれ、諸々あって、結局名取と静司の力で大妖は退治されます。この共闘部分はかっこよかった。一旦かかった足止めの術が効力を失い、危機一髪のところで静司が側に来ていることに気付いた名取が静司に呼びかける「こっちだ」「外すな」という言葉。それに対して静司が放つ「誰に言ってる」という返事。…気が合わないはずなのに、なんだかすばらしいコンビネーションでした。

共闘後、自分の力のなさを実感し、静司に手柄の全てを譲る名取ですが、このとき静司が言う「もっと上手く生きなよ。強くなれないんならさ」は、先に言った「強くなれないと何も守れないよ」に呼応する言葉だと思います。名取はその言葉にむっとしますが、これ、意外と大事なヒントかもしれません。守りたいものがあって、しかも自分のように強くないなら、うまく立ち回らないと守れない。逆に言えば上手く立ち回って大事なものを守ればいい、…静司はそう言っているようにも聞こえます。
それが名取にそうは聞こえない(たぶん)。…それは名取が静司に、そういう人間であってほしくないと考えているからではないでしょうか。
その証拠が、最後の河原での視線の合わない二人だと思います。名取は川面を見る静司に感情を求めない。不敵に笑っている静司も憂いている静司も見たくないと感じる。名取は静司に、自分とは全く相容れない存在であってほしい。…実際に相容れないかどうかではなく、相容れない存在だと決めつけてシャットアウトしている。
もっと幼ければ素直に受け入れることも出来た。もっと大人であれば呑み込んでうまく立ち回ることも出来た。
そのどちらもできなかった、頑なに過ぎる名取が、少し切ないです。

たぶん静司はどこかで名取の頑なさに気付き、距離を置いたのでしょう。
最後の場面で名取の伊達眼鏡ごしに空を見る静司の眼差しは柔らかい。
「こんなので見ようとするから歪んで見えるんじゃないの?」
迷いがない静司の言葉は、名取にはまた傲慢に聞こえるだろうけど、名取の求める妖し道の一つの真理のような気がします。

本筋以外で印象に残ったのは、天崎の連れていた妖し。主の死と共に、どこへかと静かに立ち去っていくのですが、彼(彼女?)が天崎に向けていた眼差しが愛おしかった。名取に向かって必死に語る彼を斜め下に見下ろす大きな瞳。無表情なのに愛情が感じられる眼差し。…名取が初めて知った、祓い屋と式との心のつながり。…それが彼らで良かった。…そう思える場面でした。

あと、疑問が一つ。大妖を退治後、「右目を食われるなど絶対にごめんだ云々」と祓い屋たちが静司のことを噂しているのですが、それを聞いた名取が「左目…?」と疑問を呈するのです。…これ、誤字ですかね?それとも左目にも何かありましたっけ?…ちょっとわからなかった。何か読み落としてるかもしれない。

以上、無駄に長い、思いこみ激しい感想でした。おつきあいいただきありがとうございました。来月は夏目休載、さびしいです!来月にDVDが届くといい〜(涙)
posted by 麻井由紀 at 03:54| Comment(5) | TrackBack(0) | 夏目友人帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見しております。
右目、左目、私も「あ、あれ??」となりました。
きっと誤字、ですよね。違うのかな。。。
天崎さんと妖しのエピソード、ちょっと
悲しくて、切なくて・・でも何だか心温かくて、
「夏目のこういうところ好きだな〜」って
改めて思ってしまいました。
月刊誌だと、一回のお休みがとても長く
感じます。また夏目の感想を読めるのを
楽しみにお待ちしております。
Posted by at 2013年09月26日 23:35
いつもこのサイトを拝見しています。
私も先月号からかなり荒ぶってしまいました(笑)
なんだかすごい16歳でしたね。静司くんは。
そんな彼の「守りたいもの」って、本当に何なのでしょうね?
出てくるたびに、彼がよく分からなくなります。

あと、最後に名取さんが言ってた「失望した」って、どういう意味なんでしょうか?
自分に失望したってことなんでしょうか。



Posted by サトミ at 2013年09月28日 06:46
26日の「 」様!(こんな書き方でゴメンナサイ
…。)
いつもコメントありがとうございます。
天崎さんのエピソードよかったですよね…!大きい重い話の中でも、こういうエピソードをいれてくれるところが好きです、夏目友人帳。
休載さびしいので、本当にこの間にDVDが届いてくれないかしらと熱望中です。届いたら速攻感想レポ書く…!
また1月号が出たら、遊びにいらしてくださいませ♪
Posted by あさい at 2013年09月29日 01:21
サトミ様

コメントありがとうございました。
静司くん…。…改めて16歳って書かれると、すごくしみじみしてしまいます。…16歳…。こんな達観した16歳…。
静司くんは今までずっとつかみどころのない描かれ方をしていたのに、今回急にぎゅっと近寄ってくれたので、逆に戸惑っています。若い時だからこうなのか、名取さんにはこうなのか、それとも今まで見せてないだけで基本的にこういう人なのか。
守りたいものについても同じ感覚なんです。今までの的場静司さんには本気で守りたいものがあるようには見えなかったので、急に守りたいものと言われても戸惑うばかりで。
静司くん視点で描かれたお話が出てくるとわかるんでしょうか…。…いやそれはそれで混乱するかな。
最後に名取さんが言ってた「失望する気がした」は、私は静司くんに対してじゃないかと感じましたが、明確には描かれていないのでどうとでもとれますよね。静司くんをこういう人と決めつけている自分に対する失望なのかもしれませんね…。

感想読んでくださってありがとうございました。また遊びにいらしてくださいね。
Posted by あさい at 2013年09月29日 01:33
今更だけど
なんとなく気になって検索してみたら、ここに辿り着きました
やはり皆、天崎さんのEP好きなんですね
俺も、地味なEPの割りに妙に心に残って、好きなEPなのでなんだか嬉しいです
Posted by にがうり at 2015年06月16日 10:43
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