2013年02月28日

LALA4月号 夏目友人帳感想

遠い祭火の章は前後編構成でした。今回はその完結編、続きはネタバレ、たたみます。


イトさんが仕える神社の神様、あるいは田沼のお父さんについている神格の妖しが登場して話のメインになるのかと思っていましたが、今回の話のメインはテーマは、イトさん自身でした。感想の前に簡単に粗筋を紹介します。

取られた面を取り返す話は前半で案外さらりと片がつき、メインの話はこの後だということを示します。
面を取り返すためにイトさんが力を使ったとき、その力にあてられたのか倒れてしまった夏目は、イトさんの本心を垣間見てしまいます。…というか、垣間見るまでもなく、イトさんは事件後、心細げな子供だった田沼への気遣いと慈しみを口にします。自分は神社守りだから個別の者に情はかけないと言う言葉のしらじらしさ、嘘っぽさが奇妙に薄っぺらい。黙り込む夏目の前で逆に彼女は妙に饒舌になります。夏目に正体を知られたのでこの姿のままでここにはいられない、と、立ち去ろうとする彼女を引き留め、それまでとはうってかわって饒舌に、必死に夏目は声を上げます。自分が黙っていれば誰にも知られていないのと同じ、だからここから去る必要はない、いたい間、いられる間はここにいてください、と。
イトさんは夏目のその言葉を聞き入れ(…たのかどうなのか、本当ははっきりとはしないのですが、とりあえずそう見えます)、夏目の額を撫でます。幼い田沼にそうしたように。人はこういう気持ちの時、こうするんでしょう?と言って。
翌日、体調が戻って祭りの最終日を見に行った夏目たちに、遠くからイトさんが手を振ります。どこか沈んだ様子の(田沼に言えない秘密を抱えている)夏目に、田沼はかつて、イトさんを少し不思議で少し怖いと思っていたことを告白します。そのときは妖しの存在を知らなかったけれど、妖しを知ってからは実は彼女は妖しなのではないかと思い始めたことを。夏目が、田沼は自分に彼女が妖しかどうかを確かめようとさせたのかと思いかけたとき、田沼ははっきりと、だから彼女に自分の友人を見せたかったのだと言います。話中で言葉にしてはっきり書かれているわけではありませんが、おそらくは、友人が出来たからもう自分はさびしくない、とイトさんに伝えるために。

この話は、二つの話と対になっているのだなと思います。はっきりとわかるのは、この前回、結んではいけないの章との対比。多軌に何も伝えないまま去っていったもさもさ妖しと、田沼の知る姿のままその場に残ったイトさん、という対比。
それから、村崎と柴田のエピソードとも対になっているように思いました。村崎が妖しかどうかを確かめてほしくて夏目を村崎の元へ誘った柴田と、大切な友人である夏目を見せたくてイトさんとの再邂逅に夏目を伴った田沼、という対比の構図です。
今までは、人と情を交わした妖しは、その場を去るしかなかった。夏目に助力を求めてくる人は、その存在が妖しかどうかを知るために、言葉は悪いですが夏目を利用しようとしてくるのが常だった。ですが、今回の話はそのどちらでもない。夏目が関わる事件、妖し、ヒトは、少しずつ少しずつ変わり始めている。今回の話で書かれているのはそういう、小さいけれども確実な変化の一つなのですね。

…と、ここまで書いておいてこれを言うのもどうかと思うのですが、私は、最初に読んだときは、ラストシーン、イトさんは夏目の言葉を入れてこの場に残ったのだと思ったのですが、二度目、三度目と繰り返し読むうち、イトさんがここにいたのはこの日限りで、やはり祭りが終わったら姿も名前も変えて、どこかへ行ってしまうのではないかなあという気がしてきました…。ひねくれすぎかなあ、自分。

まとまりがなくてすみません。もっとじっくり読めば、もっといろいろ対比や考察できるところが見つかるのかもしれません。今後の課題においておきます。

以上、感想でした!


posted by 麻井由紀 at 02:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 夏目友人帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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