2012年11月27日

秋の夜長にショートショート。<遙>

連作ネタ、次は遙です。
久々の葦原一家。パラレル設定なので、ご存じない方はうちのサイトもご覧下さいませ〜。

最初に出てたネタ出しはこの二つだけなんですが、なんとかコルダもネタが出ますように!…夏目は…難しいかな…。



秋の夜は、長い。


「ていうかさ、おかしくない?」
トランプを片手に那岐が唇を尖らせた。
「たかだか四人でやってるババ抜きが、何でこんなに終わんないの?」
その言葉に、風早と忍人、そして千尋は顔を見合わせた。
「もっと大人数でやってたら、カードがぐるぐる回ってなかなか終わらないってパターンもあるだろうけど、四人だよ?誰か細工してない?」
「細工?」
風早が苦笑した。
「何を、どうやって?」
「…どうやって、かはわからないけど、こう、カードをいかさましてさ」
「論理的に見てその意見は納得がいかない」
冷静に言葉を挟んだのは忍人だ。
「だから、どうやってかはわからないって言ったろ?…いかさまの論理なんか、僕だって知らないよ」
また唇を尖らせる那岐に、ちがう、そうじゃない、と、忍人はゆるく首を振り、かすかに苦笑のような表情を見せた。
「自分が早く上がるためにいかさまをする、というのならわかるが、ゲームを終わらせないためにいかさまをしつづける理由がわからない」
「……」
那岐は眉を寄せ、今度は唇を突き出した。言いたいことがあるのだが、ここでは言えない。…そういう顔だ。
「忍人の言うとおりだねえ」
一方、そんな那岐の表情に気付いているのかいないのか、風早はくすくすと笑う。…と、それまで黙っていた千尋が、扇形に開いた自分のカードをずいと那岐に向かって突き出して、「那岐」と呼んだ。
「カード取って」
「…あ、ごめん」
「このババ抜きが終わったら、今度は七並べしようね」
にこりと微笑んだ千尋の手の中のカードを、那岐は引いた。ハートの6だ。手持ちのスペードの6と共に捨て札の山に載せる。その那岐からクラブの3を引いていった忍人は、同様にダイヤの3とクラブの3をまとめて捨て札に捨てた。続く風早も、千尋も、…そしてまた那岐も。
…それまでの膠着状態が嘘のように、するするとゲームは進み、風早の手元にジョーカーを残して勝負は決着した。
「楽しいね!」
千尋は満面の笑みだ。風早はそんな千尋に苦笑を向けつつ、捨て札の山を集めてカードを切り始める。
「……」
手持ちぶさたな那岐がクッションにもたれると、
「……」
隣のクッションにもたれた忍人が、目を風早に向けたまま、那岐にしか聞こえないような小さな小さな声で、
「…論理的じゃないが、…確かに細工されていたのかもしれないな」
ひそりとつぶやいたので、那岐は唇だけでかすかに笑った。

posted by 麻井由紀 at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 遙小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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