2012年09月09日

帰ってきたお題った・37<タイバニ>

お題った、ちょっとまた間が開いてしまいました。タイバニ。虎空。

あさいさんは、「深夜のベランダ」で登場人物が「噛み付く」、「氷」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927

ややエロ。でもキスだけです。



シャワーを浴びて出てくると、
「今夜は月が綺麗だぜ」
ベランダの方から声がしたので、キースはタオルで髪をぬぐいながらのぞいてみた。
手に缶ビールとジャーキーの袋を持って、虎徹が空を見上げている。深夜、真円に近い月は青白く中天にかかり、まぶしいほどの光を地上に注いでいて、なるほど、とても美しい。…が、キースの視線は月よりもむしろ、虎徹に釘付けになった。
必要な筋肉だけがきっちりとついたしなやかな体躯。闇の中、時折金色に光って見える琥珀色の瞳。ジャーキーを手で取り出すのが面倒くさいのか、虎徹は時折袋を口元に運んで歯で一本抜き取る。その、薄い唇からのぞく、尖った犬歯。

−…何て美しい獣だろう。

キースは我知らずため息をついた。
「…キース?」
そのため息が耳に届いたのか、虎徹は怪訝そうに振り返った。その目がふと困惑に揺れ、眉が寄る。
「……キース」
低い声に再び名を呼ばれて、キースは上の空のまま、
「ああ、うん、きれいだね」
適当に返事をしたのだが、
「きれいだね、じゃねーよ。…お前」
かすかに苛立ちを孕む虎徹の口調に、はたと我に返る。
「……?」
ぽやん、と首をかしげると、虎徹は苦虫を噛みつぶしたような顔で、その顔やめろ、とつぶやいた。
「……顔?…どんな?」
「…すげえエロい顔。…その顔で道端に立ってたら、あっという間にオオカミの餌食だぞ、赤ずきん」
キースはくるりと目を丸くした。…それからうっとりと瞳を細めて、喉声で笑う。
「…大丈夫だよ」
「大丈夫じゃねーよ」
「大丈夫。…オオカミなら今、私の目の前でジャーキーをかじっているから…」
言い終える前に噛み付くようなキスが降ってきた。いきなりのことで思わずキースがよろけると、細いのに万力のような腕があっさりその身を抱きとめ、ぐいと引き寄せる。
缶ビールを手にしていたからか、その手は風呂上がりの肌にはのように冷たいが、不快ではなかった。むしろ心地よい。口づけの熱さと指の冷たさのアンバランスがたまらない。
キースは声を上げてこの快楽を訴えたかったが、残念なことに唇が自由にならない。
あえぎをひたすらに呑み込むしかない赤ずきんのまなじりから、透明な涙が一粒だけこぼれ落ちた。
posted by 麻井由紀 at 03:46| Comment(0) | TrackBack(0) | お題ったー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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