2012年09月05日

帰ってきたお題った・36<タイバニ>

しばらくお題ったの整理ばかりしていたので久々に新作です。タイバニ、空虎空。
もうほんとにリバの基準わかってないゴメンナサイ。

あさいさんは、「夕方の高所」で登場人物が「言い訳する」、「ヒーロー」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927

同じネタで何度書けば気がすむのだ私。でも好きなんだもん…。


夕方の涼しい風が窓から入ってくる。
勝手知ったるキースの家のリビングで、ごろりとソファに横になった虎徹は、天井の高い所でゆらゆら何かが揺れていることに気付いた。
身を起こしてよくよく見ると、モビールだ。しかもヒーロー達のモビールだ。デフォルメされたドラゴンキッドやロックバイソンがゆらゆら揺れている。一番上の端っこにはスカイハイがいて、やあ!と空を飛んでいた。
「なんだ、かわいいな」
見覚えのないものだし、絵も手書き風だ。市販のキャラクター商品ではなさそうだった。窓からの風を受けて、ゆらり、ゆらりと揺れる。
「ふうん。よく出来てる」
「何がだい?」
キッチンでコーヒーを淹れていたキースが、ポットを手にしたまま首だけ出した。
「モビール」
虎徹が短く答えると、
「ああ、それ。…かわいいだろう?」
キースもほこほこと笑った。
「ファンからのプレゼントなんだ。あまりそういうものを家には持ち帰らないようにしているんだけど、これは本当に良くできていてすばらしかったから、もらってしまった」
ふうん、と相づちを打ちながら、ふと虎徹はキースの返答に引っかかるものを感じた。
「プレゼント、受けとらねーの?」
キースは小さく肩をすくめる。
「食べ物は、無駄にしてはもったいないから、スタッフで分けるようにしているし、ファンレターにもちゃんと目を通すよ。だけど他のものはだいたい会社のヒーロー事業部の倉庫に保管してる」
「何で」
「…」
キースはおっとり困った顔で笑いながら言い訳した。
「だって、私宛じゃなくてスカイハイ宛だからね」
「同じじゃねえか」
虎徹が眉を寄せると、
「ちがうよ」
キースはきっぱり首を横に振る。
「何で。スカイハイとして戦ってるのはお前だろ?お前がスカイハイだ」
「でも同じじゃない」
「……」
「…そんなことより、…ほら、見て」
キースは話をそらそうとするかのようにモビールを指さした。
「他のヒーローは皆一人ずつなのに、タイガー&バニーは二人で一つのモチーフになっているんだよ!…コンビーヒーローならではだね!」
「…、ああ、本当だ。…芸が細かいな」
「いいよね、うらやましいよ。私も君と一緒がいい!」
「何だそりゃ」
虎徹が困惑してざっくりといなすと、キースははははと笑った。そして、コーヒー入ったよ、と言い添え、虎徹に背を向けてまたキッチンに戻ってしまう。
虎徹はその背中とモビールを見比べ、口をへの字に曲げてがりがりと頭をかいた。

数日後、虎徹はキースをトレーニングセンターのロッカーで呼び止めた。
「これやるよ」
「なんだい?」
「開けてみろよ」
小首をかしげつつ、キースが紙袋をかさかさと開ける。そして、中から出てきた物を見て、あっと声を上げた。
モビールだ。天秤棒が一つだけのごくシンプルなものだが、モビールには違いない。天秤棒の片方にはキースと虎徹らしき人物が、そしてもう片方にはスカイハイとワイルドタイガーが、どちらも肩を組んでいる。
「これ…」
つぶやいたきり次の言葉が出ないキースに、虎徹はぼそりと、
「釣り合ってるだろ」
言った。
「お前がスカイハイで、スカイハイがお前だ。…お前らは、イコールなんだよ。…このモビールと一緒で」
「……」
「お前以外のスカイハイなんてあり得ない。…いいか、…お前以外の人間はみんなそう思ってる。お前がいつも言うように、お前が引退したら他の誰かがスカイハイになるなんてことは、実際にはあり得ないんだ。スカイハイになれるのはお前だけだ」
キースがあいまいな笑みを浮かべる。虎徹の言葉は彼の中に刺さらない。波打ち際に砂の城を作るようなもどかしさが、じわりと虎徹の心にわだかまった。

posted by 麻井由紀 at 02:41| Comment(0) | TrackBack(0) | お題ったー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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