2012年08月01日

帰ってきたお題った・32<コルダ>

お題った、コルダ、大土。

あさいさんは、「夕方の畳の上」で登場人物が「抱きしめる」、「友情」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927

旅に出るのでしばらくブログの更新止まります。蓬生さんのお誕生日までに何かネタをものしたいです。がんばります!


蝉の声はいつから蜩に変わったのだろう。
風に秋めいた涼しさがまじりはじめたのはいつからだろう。
身体はまだ夏の名残にじわりと熱いのに。

「いったいいつが夏の終わりで秋の始まりなんだろう」
つぶやくと、傍らで畳の上に転がったままびくりとも動かなかった男が、目を伏せたまま口を開いた。
「……どっからが友情で、どっからが愛情なんか聞くんと同じやで、それは」
どきりとして振り返った大地の前で、彼は重たそうにまぶたを開ける。眼鏡なしの彼の眼差しは、焦点が曖昧でどこか淡い。
「……どこまでが恋で、どこからが惰性か、とか、な」
「……っ」
その言葉に、思わず大地が小さく息を吸うと、蓬生はぼんやりと笑った。
「…必死な顔して」
「…君が、怖いことを言うから」
「…はは。……君、いじんの楽しいから、ついつい、な。…ごめんな?」
耳元に囁かれる声はとろりと甘い。
「心配せんでも。…好きや」
大地は蓬生を力を込めて抱きしめた。しかし、いつもなら、痛い、やめろ、と文句を言う蓬生が、今日に限って何も言わない。それが怖くて、そのくせ、好きや、とつぶやかれた声の甘さに、腹の底がぐるぐると渦を巻き、沸き立つような心地もして。
…蜩を聞きながら、終えたはずの行為を再開する。夕闇に沈む部屋の中、徐々に熱を帯びてくる蓬生の身体だけが、ほの白く浮かび上がる。その様は、夏の黒々とした木陰にそっとさく夾竹桃の白い花のようだった。
posted by 麻井由紀 at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | お題ったー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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