2012年07月13日

帰ってきたお題った・25<コルダ>

少し間が開いてしまいましたが、お題った。
コルダ。大律。

あさいさんは、「深夜のベンチ」で登場人物が「愛される」、「ミルク」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927

野外でミルクー!?ってすごく困惑したけど、最近の七夕イベのおかげで思いつきました…。


大地と律は、寮までの道をのろのろと歩いていた。時に深夜。あってなきがごときとはいえ寮の門限はとっくに過ぎており、住宅街もそろそろ寝静まる時間だ。
夏の闇は濃い。
「こんな時間までつきあわせて、ごめん、律」
定演のメンバーの選抜は明日に迫っていた。音楽科の生徒に比べて練習時間にハンデがある大地のために、律は積極的にコーチ役をかって出てくれている。
「いや。…大地の練習を見るのは、俺にもいい勉強になるから」
かすかに微笑んで空を見上げた律が、ふと、あ、とつぶやいた。
「…?何だい?」
「…天の川だ」
「……あ」
言われてふっと空を見上げた大地も、思わず同じ感嘆をもらした。
新月で、かつ時間的に地上の灯りも少ないからだろう。
普段あまりこのあたりでは見えない天の川が、今夜はかろうじて、「ああ、あれがそうか」と思える程度に確認できる。
「ここでも見えるんだな」
律の率直なつぶやきに、大地は苦笑した。
ミルクをこぼしたように、とはいかないけどね。…律の家のあたりなら、もっとよく見えるんだろう?」
「ああ。…街灯も少なかったし、空気も澄んでいるから。…もう少しはっきり見えたように思う」
優しい顔で、律は笑う。
「星の曲を弾きたくなるな。ホルストの惑星や、シュトラウスの天体の音楽」
「俺にはまだきらきら星が精一杯だなあ」
「きらきら星もいい。誰からも愛される親しみやすいメロディだ。…今度デュエットであわせてみようか」
「…相手が俺でいいのかい?」
「こんな気まぐれにつきあってくれるのは大地だけだ」
さらりと言い放ったくせに、ふとはにかむように笑う。…その律の仕草が、大地の胸にぐっときた。
「…」
「一緒に弾こう。…いや、…弾いてくれるか?」
「…もちろん」
喜んで。…そう答えると、律は、うん、と静かにうなずいた。
通り過ぎる公園のベンチに、誰かの忘れ物らしい七夕飾りと短冊が落ちている。
誰が何を願った短冊だろうか。

−…俺は。俺なら。

大地は天の川を、その川に堰かれて会えない恋人達の星を、見上げた。

−…どうか、いつまでも、こうして律と一緒に。

無理とわかっている願いをそっと星にかける、新月闇。
posted by 麻井由紀 at 02:18| Comment(0) | TrackBack(0) | お題ったー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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