2012年07月07日

帰ってきたお題った・24<夏目>

駄目なオトナまるだしの名取さんです。

あさいさんは、「昼のベンチ」で登場人物が「さよならを言う」、「吐息」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927


「本当に厄介事に巻き込まれたわけじゃないんだね?」
「本当ですよ」
問い詰める名取に、夏目は困った顔で笑い返す。手に持つ紙袋には、退魔法に関する書物が入っている。名取が家から持ってきたものだ。
「ただ、万が一巻き込まれたときのために対処法を勉強しておきたいなと思って。…それだけです」
お借りします、ありがとうございます。
そう言って夏目は丁寧に一礼し、名取にさよならを告げて去っていった。自称用心棒の猫を一匹、お供につれて。
ベンチに腰かけたままその後ろ姿を目で追って、名取は小さく吐息をもらした。
ふわりとその傍らに気配。…柊だ。
「見届けますか?」
「子供を信じない悪い大人の典型にはなりたくないよ。……夏目を信じる」
「……」
柊はじっと、夏目の去った方を見ている。名取は小さく咳払いした。
「…柊」
「はい」
「信じよう」
言って、名取は、真の白茶けた地面に視線を落とした。……自分の影しか映らない地面。
…妖しであり式である柊が疑わしげなのは、名取自身が疑念を持っているからだ。
柊の視線は、信じると口では言いながら人を信じ切れない、自分の本性を見せつけられているようで、痛い。
「……」
名取はもう一度吐息をもらして、そっと眼鏡を外した。


posted by 麻井由紀 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | お題ったー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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