あさいさんは、「夕方のソファ」で登場人物が「さめる」、「罠」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927
ほのぼの。
目がさめると夕方だった。
「うぇっ!?」
虎徹は半分寝ぼけた珍妙な声を出して目をこすった。…こすっても、部屋に差し込むオレンジ色の光は間違いなく夕焼け色だ。
「…うっそだろ…丸半日、寝て過ごしちまったのかよ」
まあ、元々久しぶりのオフだからごろごろして過ごそうと思っていたのだが、それにしても。朝ゆっくりと起き出してブランチ代わりにトーストをかじったっきり昼食も摂らずにもう一度ソファに転がってしまった虎徹としては、今日一日何してた、俺、と自分につっこまずにはいられない。
ため息つきつき起き上がろうとして、気付く。
「…起き上がれない」
…重いのだ。とてつもなく重い。特に胸の上と股のあたり。
見ると、胸の上にはくしゃくしゃになった金の髪が広がっていて、股の間には同じく金色の毛並みがのしりとあごを載せている。どちらも熟睡しているようだ。…大型犬に二頭がかりで押さえつけられたのでは、起き上がれるはずがない。
「…うおーい」
返事はない。ふれあったところからじわりと伝わる体温は、うっかりするとまた眠りの淵に引きずり込まれそうなほど心地良い。
「……罠だな」
思わずそうつぶやいてしまった。
「これは罠だ。このせいで俺は起きられなかったんだ」
うん。俺は悪くない。キースとジョンが悪い。うん。
ぶつぶつ繰り返しながら、そっと金の髪を撫でる。むにゃ、と言いながらキースがぐりぐりとこすりつけるように頭を動かして、虎徹の体に巻き付けた腕に力を込めてきた。
子供が親にするような仕草だが、力の強さはしっかり大人だ。だから、そうされると俺は動けないんだって、と苦笑しながらも、虎徹はキースを起こさなかった。
幸福で胸がとろけそうだ。
押さえ込まれているせいで、誘うようにかすかに開かれた唇にキスできないことだけが、ほんの少し惜しかった。