2011年07月15日

ブログイベントリクエスト小説その7「熱帯夜」

熊菊様のリクエストです。

大地×蓬生 お題は「熱帯夜」で

……熊菊様。最初に謝ります。
……………いただいたお題が「熱帯夜」で、……書いた話のタイトルも「熱帯夜」です……。
・・・・・。
ひねれ!もっといろんな意味でひねれ、私!!

………すいませんでしたっ!

でも楽しんで書かせていただきました!私的にはちょっと大人っぽいです!普段のレベルが低いので、大人っぽいといってもこんなもんですが。
原稿がんばってください、応援してます!!リクエストありがとうございました!


「…あっつぅ…」
ぼそりとつぶやいた蓬生に、のんびりと大地が応じる。
「真夏の夜にクーラーなしじゃ、そりゃ暑いさ。……どうしてエアコンを止めてるんだ?」
大地の問いかけに蓬生は顔をしかめた。
「……クーラーの風が嫌いなんや。当たるとぞくっとする。…昼間は暑ぅて目ぇ回るし、しゃあないからつけとうけど、夜はなかっても我慢できる」
「の割には、先刻から暑い暑いって言ってるようだけど」
「…誰のせいや」
蓬生はうっとうしそうに髪をかき上げてから、肩越しに大地を睨み付けた。飄々と笑う彼は、先刻からずっと蓬生の身体を背中から抱きすくめているのだ。
「我慢できるだけで、暑ないわけやないのに、こんなでっかいのにへばりつかれたら、誰かって暑い暑い言いたなるわ」
いつもは外面を意識して多少柔らかい声も、二人きりだと露骨に棘を出す。
「しかも、君、人より体温高いんちゃうか?……じわじわくる」
大地はうっすら笑った。…彼には珍しい、獣のような笑みだった。
「……好きな相手を腕に抱いていて、体温の上がらない男なんかいないさ」

……興奮してるんだよ。

そう告白する時だけ、涼しかった声が少し低く、かすれた。耳から忍び込んでとろりと落ちて、蓬生の腹の底をじわりと灼く。
「…」
思わず呑み込んだつばで喉が鳴った。

…絶対、大地に聞かれた。

悔しくて、ごまかしにもならないと知りつつ露骨な舌打ちをする。
「の割に、涼しい顔してるやんか」
前に向き直る。…振り返っていれば、大地に表情を読まれてしまう。
「蓬生の肌がひんやりしていて気持ちがいいんだよ。……人より体温が低いのかな、君は」
蓬生の心情を知ってか知らずか、…あの一瞬がまるで嘘のように、大地はさらりと乾いた声を出した。
「……大地が熱いんや」
「またそうやってすぐ人のせいにする」
大地は少し笑った。喉に絡まるような笑いだった。
「…まあいい、そういうことにしておこうか。……ところで、そろそろエアコンをいれていい?」
「……先刻からの話の流れをなんやと思とん。……クーラーの風は嫌いや、言うたとこやんか」
「これからもっと暑くなるよ。……君がそれでも我慢できるなら」
思わず振り返って蓬生は大地を睨み付けた。
「…何する気ぃや」
言葉を聞いて大地は苦笑した。
「知ってて聞くのかな。……それとも本当にわからない?」
目をのぞき込まれる。肌の熱よりももっともっと熱い瞳。欲しくて欲しくて餓えていることを隠さない瞳。
悔しいけれど、…大地ばかりが欲しがっているわけでもなく。
「……暑い、てこと、忘れるくらい、…熱してくれるんやったら」
「…当然」
大地の答えに蓬生は嗤う。
「…ほなやっぱり、クーラーはいらんちゃうん」
くすぐるように誘うように、自分の唇を撫でた指先で大地の唇をなぞれば、その唇は三日月の形に苦く笑い。
「……」
背中から蓬生を抱き込んだまま、大地はゆっくりとベッドに倒れ込む。指先まで熱いその手が頬に触れてきたとき、蓬生はうっとりと目を閉じた。

後はただ、闇と、熱。
posted by 麻井由紀 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ブログイベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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